店長力 > 2012年07月
いらっしゃいませ(^^)
店長の仕事を考える、コンビニ店長の店舗運営マニュアルブログです。
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発言に自覚を持たせる
店長候補さんもいろいろなタイプの方がいますので現れる問題点も様々ではありますが、この章の指導を行う際まず私が一番厄介だと思うタイプは、ふだん素のままの話し方がすぐに出てしまい、それについての問題意識を持っていないタイプの人です。

つまり、業務を遂行している最中にはそれなりの姿勢でやっているのだけれども、同僚や上司に話しかけられたり、業務を離れて会話したりする時になると、まるで無自覚に地のままのしゃべり方になってしまうのが癖になっていて、指摘してもそれを繰り返してしまうような人です。

あるいは、自覚的にそういう堅苦しさを避けようとして、あえて修正しようとしない場合もあります。

こういう人の場合、言葉使いや話し方の問題について本人に自覚させること自体にかなりの指導時間を割かなければなりません。

お店で店長さんとアルバイトさんが会話する時のことをイメージしてください。それは、ふつうに考えて会社などで部下が上司に向かって話す場合のような態度ではないはずです。アルバイトさんとの関係では、そこまで公式な、というか、上下関係を意識させるような言葉遣いは期待もしていないというか、堅苦しいと考えてむしろ避けることが多いのではないでしょうか。

もちろん、アルバイトさんが店長さんと話すとき、完全にタメ口だったり、友達のような感覚でラフに話したりすることは稀だと思います。たいていの場合「一応丁寧な」話し方をするでしょう。しかし、その丁寧というのは、単に「です、ます」を基本的に使うという意味でしかありません。

それで、アルバイトさんを常時雇用しているような環境にいるとそれが当たり前の感覚になってしまいがちですが、あらためてよく考えると、たとえば店長候補さんが、それと同じような感覚で、指導してくれる人や上司にあたる人に接しているとしたらどうでしょうか?

多くの店長候補さんが、言葉使いを意識しろというとすぐ「敬語とか不慣れで……」と言います。しかし、こちらはそんなことを言っているのではないのですね。敬語うんぬん以前の認識、感覚からして正さないといけないことが多いのです。
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アルバイトと一線を画すには
実は、この章より前、今まですでに指導された内容は、言ってみれば、お店で働く場合にはだれにでも本来期待される内容だったと言えます。実際どの程度できるかは別として、内容的には本来「アルバイトだから」とか「店長候補だから」とかいう区別は、実はありません。

ですから、これ以前の段階ではたとえ実務的に向上しているとしても、まだ意識として「アルバイトさんと一線を画す」というような明確な自覚を持っていない、あるいは、そうしたいと思っても、では実際何をどうすれば良いのかほとんど想像できないというような店長候補さんが存在する可能性はあります。

ところで、たとえばですが、ふつうの会社で新入社員の人が、

「もちろんタメ口は使わないけど、でも上司や取引先の人だからと言って、あんまり堅苦しいのも嫌だ」とか、
「言葉遣いや話し方なんて、仕事と関係ないじゃないですか」
とか、

そんなことを言うでしょうか? 言うわけがありませんよね。そもそもそんなこと想像もしないと思います。

しかし、お店だとなぜか「そんなこと考えるわけがない」と言い切れない。なぜか、あり得るように感じてしまう。そういう気持ちの人もいるだろうな、とか変に理解できるような気がしませんか?

つまり、お店という職場にいると、それくらい大きく感覚がずれている可能性があるわけです。それは端的に言って、お店という環境だとどうしても「ビジネスシーンである」という意識が希薄になりがちだからです。

たいていは店長候補さんも、すでにこの段階に至るまでの間、そういう認識、つまり、「仕事上の」コミュニケーションだという認識を持たずに、アルバイトさんと同程度の意味で「一応丁寧に話す」だけで済んでいることが多いと思います。

別に、店長さんなどの監視下で、お店の中で作業しているだけだったらそんなことはあまり気にしなくて良いかもしれません。つまりその人がずっと店長候補のままだったら。しかし、それではダメですよね。

簡単に言えば、アルバイトさんが店長さんに接するような場合と変わらないようなコミュニケーションを続けているということは、その人はアルバイトさんのような感覚しか持っていないということです。

その問題を、言葉や発言という視点を通して意識させたいのです。
どこまでが仕事の場面か
ですから少なくとも、店長候補さんがこの段階でまず確認しておくこととして、

1 実際に特定の業務をやっていない時でも、お店にいる間、また、上司などと話している時は、それは「ビジネスシーン」だという認識を持つこと

は不可欠だと思います。それを十分に自覚していて、それでいて場面や状況に応じて話し方などを選択できるような人であれば特に問題はないわけですが、店長候補さんは多くの場合、そもそもそんな認識を持っていないことが少なくないので、きちんと指摘してあげないといけないわけです。

だれでも接客中や、店内でもお客様が見えるところにいればそれなりの意識で話したり、声をかけたりはできます。それはアルバイトさんも同じでしょう。

しかし、たとえばバックヤードや事務所にいる時とか、お店を離れて上司と話している時とか、そういう時になるとすぐに緊張感がなくなってしまう。それはたぶん、店内作業をしている時は「仕事」という意識があるけれども、その場を離れると「仕事中だ」とか「今指導を受けているんだ」という意識がなくなってしまう、あるいは、お客様の見えない場所は言わば「舞台裏」という感覚になっているのだと思います。

店長候補さんが一線を画すのは、まさにここです。この認識を変えることがスタートだと思うのです。

少なくとも今、店長候補さんは日々指導を受けている最中です。舞台裏というよりも、その人にとってはむしろ、お店で実際に動いている時以上に、たとえばお店の裏に呼ばれて注意や指示、指導を受けている、その場面こそ「本番」だというくらいの認識がなければならないと思うのです。
実際にビジネスシーンに出る
それと同時に、

2 店長など、それなりに責任のある立場になると、現実にビジネス上の公式な場に出る場面が発生する

ということも理解してほしいところだと思います。

少し大きなチェーンだと、店長に就任した時点で社内的にもそれなりの制度や、定期的な研修や会議という名目で、自然にそういう意識が培われる環境があることもありますが、小規模な法人や、単独店舗だと、まったくアルバイトさんと同様の自覚しか持っていないまま店長とか、責任者的な立場に「就けて」しまうということが多々あると思います。

そうすると、お店の内部的な実務の面では特に支障なくこなしているのだけれども、一方でたとえば、取引業者さんや、物件の賃貸主さんと面談する時とか、フランチャイズならば本部の偉い人が来店したときとか、それら取引先の会社に出向いたりする場合、あるいは式典や会合などに出席するときなどに支障が出ることがあります。

ごくふつうには、それなりの立場になれば、それくらいは自覚して最低限の知識くらい自分で仕入れて取り繕うことくらいできるに決まっている、と考えるのは少し甘いでしょう。

たとえば日常的にも、お店で働いている人の中には、お店に出入りする人の中で、お客様じゃない人はみんな単なる「どっかの会社の人」あるいは「知り合いの人」くらいの感覚ですごくぞんざいな対応をしてしまう人がいます。つまり、お店という環境では「対お客様」という認識はごく自然に身に付くけれども、一般企業のように「対外的」あるいは「組織的」な感覚がほとんど醸成されないのです。

お客様に対しては「いらっしゃいませ~」としっかり言っているのに、そういう業者や関係者の人がお店に来た時には、相手がきちんと挨拶しているにもかかわらず「あ、どうも」くらいで我関せずといった態度の人は多いと思います。これはアルバイトさんの話ではありません。社員として雇用されている人や、いずれ店長になる予定の人がそういう態度で平気なわけです。

こういう人は、そもそも「仕事上の話し方や立ち居振る舞いそのものが、関係者や上司などから見られている」ということ自体を意識していないのです。そして、それが自分の立場や会社全体の外部的な印象にどう影響するかとか、そんなことは想像すらしていないわけです。

ですから、この章では具体的に言葉使いや言い回しの修正というか、その側面から包括的な指導を行いたいわけですが、その前提として、そもそもこのような意味での心構えというか認識そのものを強く自覚させるところから説明する必要があります。
人前に出せる人材かどうか
上で述べたことは、端的に言えばその店長候補さんが「人前に出せる人物になり得るかどうか」という問題だと思います。

お店で働いているアルバイトさんの中で、作業技術や接客対応が非常に素晴らしい、優秀なアルバイトさんもいると思います。しかし、それはそのお店の中での仕事ぶりが良いということであって、では、たとえばその人がお店を代表して外部と直接関わったり、外部的な場に出席させたりできるかというと、当たり前ですがそれはまったく別問題でしょう。

店長候補さんもそれと同じ意味合いで、いくら店内での行動や接客姿勢が整っていても、その意味での自覚とそれなりのスキルがなければ、結局は「優秀なアルバイトさん」と同じです。それだけでは店長という職を任せられないということです。

それで、やはり根本的には意識とか考え方とか……という話になるわけですが、他人から見た場合、それが最も現れやすいのが「何を話しているか」「どういう話し方をするか」という点だと思うのです。

また、言葉に対して敏感というか、慎重になると、それはそのまま精神的な態度を醸成することにもつながると思います。

その意味での自覚を持たせるためにも、単に精神論というか「もっと自覚を持て」とか「自分の立場をわきまえろ!」とはっぱをかけるよりも、その人が使っている言葉に対してアプローチするほうが具体的で分かりやすいのではないかと思います。
言葉に現れるもの
ところで、念のため、今までの指導項目を振り返ってみてください。今指導している店長候補さんの、言葉遣いや話し方といった面で気になる点があるとき、それを単に指摘するのではなくて、できれば「それがなぜいけないのか」「それがどういう問題を意味しているのか」ということを、今までの指導項目に関連付けて説明するようにしたらいいと思います。

たとえばですが、

「いつも自信がないような、自分を卑下するようなものの言い方ばかりする」

ということが気になる場合には、単に「もっと、はっきり、自信を持ってしゃべれ」と指摘するだけではなくて、

1-1 全力を出す
1-2 良い学習者になる
1-3 しゃしゃり出る

といった、すでに学んだはずの項目の中で言われている内容との「不一致」あるいは習得の「不足」として指摘できるわけです。たとえば

「あなたの話し方だと、自分の全力を出し切ろうという気持ちが(もしあったとしても)伝わらないよ」

というように説明することもできますし、

「良い学習者というのは、自分の状況を相手にはっきり伝えることができるものだし、指導を受けたいという意思をはっきり示すこともできる。そのためには何をどういうふうに話したらいいか、よく考えなければならない」

と言ってもいいかもしれません。

このように、単に話し方を変えろと言われているだけではなく、そもそも、この段階に至るまでの部分を言葉や発言として現わそうという姿勢を身に付けさせるように誘導すれば効果的だと思います。

これは今までの振り返りという意味と同時に、先ほど述べたように、自分の意識や態度、また、具体的な指導内容の習得具合を示すためにも、それなりの言葉や、発言の仕方を選ばなければいけないんだ、ということを理解させる意味もあります。

たとえば、本人なりにはもうこれは習得できていると思っている内容でも、実際に話している中でそれと不整合なことをいつも口にしていたりすれば、あらためて理解の浅さを認知して反省することになるはずです。
自分のスタイルを身に付けさせる
一朝一夕にはできるはずもないことですが、最終的に、というか、実際に店長という立場になるまでの間に、その人なりのビジネスシーンでの「発言の仕方」や「話しぶり」というものを一定のレベルに引き上げておきたいところです。

ですから、この章で特に「言葉」という側面を取り上げて意識付けることと同時に、これについては今後も継続的に都度指導、指摘していくことが必要だと思います。

しかし、単に指摘を繰り返すだけでは問題点の補正ばかりに目が行きます。ある意味、こういった問題は細かい点をあげつらえば無数に指摘点を見つけることができるものですので、それを続けても効果は薄れてくるでしょう。

だから、細かい修正を続けると言うよりも、その店長候補さんなりの許容されるレベルでの「スタイル」のようなものが出来上がるまで見届けるつもりで指導すると良いと思います。

単純に言えば、見ていて「これくらいなら、まあ人前に出しても恥ずかしくないな」と思える状況になれば一定の効果があったと考えられるのではないでしょうか?

考えてみると、最初のほうで述べたタイプ1の人、というのは多くの場合、実際のオペレーションどうこうの前に、話し方や発言する内容がすでに「それなりのレベル」であることがほとんどではないでしょうか?

逆に言えば、採用段階で、たとえば「この人はすぐにでも店長として働けそうだ」というような期待を持つのは、その人の話しぶりによるところが大きい。ただし、その印象が必ずしも実際に店長としての実務に耐えうる力があることを保証はしませんが……しかし、少なくともそう期待させるようなことを、期待させるような口ぶりで話す。

そういうタイプの人はつまり、実際のオペレーションや業務の問題とは別に、すでにそういった面での自分のスタイルは身に付けている、つまりビジネスシーンでどういうふうに発言し、どう振舞ったらよいかということがすでに分かっているわけです。

実際の仕事がどの程度できるかという問題ももちろん重要ですが、お店で単に作業レベルのクオリティを追究しても、こういった部分の向上には直接結びつきません。多くの店長候補さんは、このことに気が付いていないのです。
話し方は自分の「立ち位置」を決定する
店長候補さんはたいてい、お店の中で常に指導される側にいますので、その前提でのコミュニケーションが多くなります。それはそれで仕方ないのですが、少し注意しなければならないことは、結局、最終的にその人は店長とか、そういう立場になるという予測の下に指導されている、ということを忘れないようにすることです。

たとえば素直で、従順で、こちらの言うことを何でも「はい、はい」と聞き従ってくれるような人、悪い言い方をすれば、ある意味、自分に自信がなくて、上司に頼り切りで、態度がかなり卑屈な人、こういう人は、ある意味では最初の内、一生懸命指導を受けているように思える場合があります。

もちろん、下手にプライドがあって、自分の考え方ばかり主張し、手落ちや不足があっても正当化するような人、たとえば、こういう人に教えるよりははるかに楽ですので、むしろ前者のほうが指導の効果が高いように感じるのです。

しかし、最初はそれでも構わないのですが、危険なのは、その状態が固定してしまうと、そういう態度や言動が身に付いてしまうということです。

つまり、話し方に限らず、その人はおそらく今「店長候補さん」という立場にいる場合に最適であるようにどんどん調整されてしまう危険性があるわけです。

これは実はけっこう問題で、ある程度業務を習得して、それなりに成長してきたかな、と思っていた店長候補さんがある段階で急に伸び止まってしまうように見えることが少なくないのも、この辺りに原因があるように思います。

結局、このままでは、その人は店長候補さんとしては良いほう、頑張っているほうだ、という評価は得られても、店長にはなれない可能性が高いのですね。
店長になったつもりで話す
おそらく、一定期間業務を習得してきた店長候補さんに対して、例えばこういうアプローチをすることがあると思います。

「あなたは、今まであくまでも店長候補という立場で一生懸命頑張って来たと思う。しかし、これからは自分が店長だと思って、その視点で……」

つまり、今までのようにひたすら指示通りに習得するという段階ではなく、今度は自分で考えて自立的に動けるように、というようなことです。

そして、そうは言ったけれども、それ以降その店長候補さんは成長が止まってしまって、結局こいつは店長の「器じゃない」というような評価になってしまう。これは、実はしばしばあり得る展開というか、どこのお店でも発生しやすい問題だと思います。

この問題を回避する一つの策として、私が思っているのは、これも言葉や発言の問題に置き換えて示すことが有効だということです。

指導要領に沿って順当に内容を習得してきたと仮定すると、この段階はまさに「伸びどまり」が起こるタイミングなのですね。だからこの章で「言葉」の問題を取り上げているわけですが、たとえば

「話し方だけど、だいぶ良くなってはいると思う。だが、今少し足りない部分があるよ。それは、あなたがどういう視点から話をしているか、ということです」

というように誘導する。今まで通りに何か質問や意見を言って来た時、

「あなたは今現時点での自分の視点からだけ発言している。そうではなくて、試しに『店長だったら、こんなことを言うだろうか』とか『この事柄について、店長だったらどう言うだろうか』という視点で、話してみなさい」

という練習をさせるのです。

つまり、ここでは主に「意識」とか「考え方」について自分なりに試行錯誤というか、そういう面を強く意識させることを先に試すわけです。それを「言葉」として表してみる、という、いわば練習ですね。
すぐに行動させない
このやり方だと、実際に今本人がやっている業務などに直接的な変化は生じません。それとは少し別の角度から、考えることができるわけです。そして、本人が言っている内容や、考えた結果などに対して、指導していくことになります。ここで例として実際の作業やお客様の対応場面の話を交えることは効果的ですが、あくまでそれは一例であって、問題にしているのは言葉や発言内容そのもの、それを通して見えてくる本人の意識や考え方などのほうです。

そして、それがすぐに実務面に反映されなくても構いません。本人が自ら実際の業務にそれを反映しようとしたら誉めてあげてもいいですが、こちらから「これで業務上も何か目立った変化があるはずだ」と期待する必要はありません。

むしろ、この段階ではすぐに「何か実務や行動で示せ」というのが逆に成長を妨げると私は思います。多くの場合これによって多くの店長候補さんが伸び止まってしまうように感じるのです。

私の考えでは、店長の目線で、と言われるとほとんどの店長候補さんは、いきなり何か実効性のある業務を追加しないといけないとか、お店のすべてを把握しなきゃいけないとか、自らハードルを上げてしまって、結果混乱したり、今までの指導内容を逸脱したりするようになると思います。

言っておくと、この段階位の店長候補さんにとっては、そのように指示されても実際にできることは、たとえばコンビニのような物販店舗の場合なら

・特定の売り場の配置換え、とか
・徹底的に掃除しまくる、とか
・気が付いたことを「問題点」として報告する、とか

そういう程度のことだけです。これらは言わば、今まですでにやって来た業務の中で、とりあえず自分で出来そうなことを追加的に行ったに過ぎません。

実は、店長候補さんの場合には、これを良い方向に変化したと評価してはいけないのだと私は思うのです。そういう行為で「やる気」を示すことはできるかもしれませんが、それは本来ここで指示された「店長目線」ということには届きません。というか、厳密にはまったく無関係な方向に努力してしまっているとも言えます。

あるいは、まだ知らない業務を教わろうとしたり、場合によっては見よう見まねで勝手に覚えたりする、という行動に出る人もいます。実はそれも逆効果です。この時点で知らない業務は、言い方を変えれば、まだ手を付けなくていい部分、まだ知らなくていいと考えているからあえて触れていない部分なのです。それを単に知識や作業の幅を広げようとすれば指導要領そのものの習得が遅れるか、最悪蓄積が崩れてしまいます。
目指すレベルの違い
実は、アルバイトさんをより戦力化するという状況なら、こういうアプローチは有効な場合があります。そもそも期待しているレベルや、実際やってほしいこと自体が上で言ったことくらいだからです。しかし、私は経験上、この、アルバイトさんに対しては有効な指導方法をそのまま社員さんや店長候補さんに流用すると、結果的に想定しているレベル、つまり店長としてやっていけるレベルに至る可能性をむしろ下げてしまうような気がしているのです。

私自身も、かつては特にアルバイトさん、社員、とか区別して指導方法を変える必要性を感じていませんでした。今でも多くの部分で共通していると思っています。しかし、現在この指導要領を用いた指導を続けている中で、特にここの部分でははっきりと一線を画す必要があることを痛感しているのです。

ごく単純に言えば、やはり社員、そして店長職に向かって行く上ではどうしても、実務内容の他に本人の精神的な問題や、意識、考え方の部分を基準値以上に引き上げる過程がどこかに必要になるわけで、ここがアルバイトさんと完全に異なるところです。

アルバイトさんの場合、その本人の意識とかいう問題は、根本的には業務にあまり関係しません。アルバイトさんの場合、意識とか気持ちの問題というのは、考え方とかではなくて主にモチベーションの問題を指します。

しかし、店長という職を想定している場合には、それは単なるモチベーションの維持、向上という範囲でない意味での「意識、考え方」を習得することが必要になるのです。もちろん、それ自体を今この段階で習得せよ、と言っても無理がありますが、その前提となるような本人の自覚というか、意識付けの方向性をここで定めておく必要があると考えます。

ですから、ここに限ってはすぐに行動せよ、ではなくて、これもまず「言葉」の問題という側面から徐々に切り込んで、少なくとも、こちらが最終的にどういう状態を期待しているのかを自覚できるようにコミュニケーションしていくのが効果的だろうと私は考えています。
言葉の問題、の段階
発言の仕方や内容に注意するように意識付けようとしたとき、おそらく一番考えられるのは、まず

1 ていねいに話す

ようにしようとすることでしょう。つまり、敬語や「です、ます」を使って最後まで言い切るように話そうとすると思います。

まず、もしそうなったら「そんなことはどうでもいい!」とか「そういうことを言ってるんじゃあない」ときっぱり否定してあげましょう。仮に、話し方や考え方が未熟な店長候補さんが、その点だけ意識したところで何ら意味はないからです。

すると、次にはおそらく

2 きちんと話す

ようにしようとします。つまり、主題を明確に、端的に、いわば、ちゃんと意味が通るように話すように心がけるわけです。

まずこのレベルですでに問題がある人も中にはいると思いますので、ここは頭から否定できない部分ではありますが、しかし、このレベルで修正すれば足りるということではありません。

この段階にある程度慣れたら、というか、慣れなくてもいいので意識付けだけでもできたなら、すぐ次に

3 発言内容そのもの

の問題に入らなければなりません。つまり、話し方とか言葉遣いとか、それだけを修正しても、それはむしろ末節の問題であって、それよりも根本は今話しているその内容そのものの問題なのだということです。

すると、たぶん報告をしっかりしようとしたり、自分で思い付いた点について自分なりの意見を言ってみたり、逆に意見を求めたり、というように、まあ言ってみれば積極的にコミュニケーションを取ろうとしているような感じになります。

あるいは、そう言うとむしろほとんど何も話せなくなってしまう人もいるので、そういう場合には逆にこちらから意識的にコミュニケーションを増やしてあげる必要があることもあります。

とにかく、そうやって自分の発言内容に少しは自覚を持つようになったとします。そうしたら次に、

4 発言や会話の「価値」を高める

ことを意識させます。この、それぞれのポイント自体は指導要領の中でも直接触れていますが、それを読んだだけで一気にこの段階まで自覚的に理解できる人はおそらくまずいません。それで、この部分では、テキストと同時に、段階を踏んでその意味を理解させないと表面的な言葉尻の指摘だけに終わってしまい効果が半減します。
会話の価値を高める意識
店長候補さんが「発言の価値を高める」という点に辿りついたところで、さて、では発言とか会話の価値というのはいったい何で決まるのか、と考えると思います。

もちろん、抽象的に概念としては理解できるだろうと思いますが、では、それを踏まえて実際に日常、何をどういうふうに話せば「価値が高い」と認められるのか、初めは思い付かないかもしれません。これを都度の実践とともに理解していく必要があると思います。

実は、このポイントこそ一番効果も高いけれど時間がかかる指導になるわけで、逆に言うと、この章では早くこの点に思い至るように誘導する必要があります。

ある意味、価値の高い発言や会話を心がけよう、という意識が仮に持てれば、たいていの場合、実際の話しぶりとか、言葉遣いとかいう面での問題点は同時に消滅していくはずです。話す内容について深く意識的に考えて発言すれば、それは当然に話し方も明確になり、無意味な表現や、目立って印象の悪い話し方などもそれに伴っていわば自動的に修正される可能性が高いからです。

ところで、具体的には都度の実践の中で、まさに指導する側とされる側との「会話」の中で修正、向上されていくものなのですが、指導する側が大まかに把握しておくべきこととして、価値といった場合には、それは話している事柄の内容や意味的な価値の他にも、たとえば、それを話す時期とかタイミングとか、あるいは、どの情報と関連を持たせるか、どういった側面から語るか、何をテーマとしてその事柄を位置付けるか、といった面からも変わってきます。

そういう面での勘所を実際に体感してゆく過程が必要だと思います。単に内容自体の価値、とだけ考えるべきではないわけです。

あるいは、同じ情報を伝えるのにどれくらいの時間を要するか、という問題もあります。ポイントだけを伝えるなら数秒とかからない話が、一から十までその経緯や背景などまで詳細に話せば、たとえば小一時間かかることになります。そのことに意味があると思うならそれも必要ですが、そうでなければ、その小一時間は何だったの? ということになるでしょう。

意味的に同じでも、それを伝えたりするための「時間当たりの価値」が変わってくるわけです。

そんな細かいこと……とか考えるかもしれませんが、この段階ではむしろ、一つの言葉、一つの表現、それに文脈とか時間の問題とか、細かい点をよく吟味する習慣を付けたいのです。それが継続的にできるようになれば、ここでの指導は成功したも同然です。

こういった面まで掘り下げられないまま、「ちょっと言葉使いにも注意しよう」くらいの認識を持った程度で終わってしまうと、これは指導がうまくいったとは言えません。
もし会話が急に少なくなったら
発言について、その価値を意識的に高めようと自分なりに自覚している店長候補さんからすれば、当然、今までのように

・思い付いたことをすぐそのまま言う
・自分でもよく分からないまま、未整理な話をする

といったことはできなくなるはずです。つまり、表面的は変化として、今までよりも慎重に話すようになり、場合によっては、何か発言しようとして途中で「う~ん」と考え込んだり、迂闊にしゃべれないので急に会話自体が減って、何かよそよそしいような感じになったりします。

それを見ていると、一時的にコミュニケーションが余計に難しくなるのでつい「指導の仕方が良くないか?」「指導を失敗したのではないか?」と感じられるかもしれませんが、意識付けとしては成功しているのでむしろそれは良い兆候と考えてよいと思います。

仮にたどたどしくても、支離滅裂になったとしても、意識して話しているということ自体を評価してあげて、まずはじっくり聞いてあげる余裕が必要だと思います。

ただし、こういう場合もあり得ます。

もう言葉の問題とかいちいち指導されるのが面倒なので、むしろ話をしようという気持ち自体がなくなっている場合です。つまり、その人にとっては、あえて何かを言おうとするから余計な指摘を繰り返し受けてしまうわけで、それだったら、そもそもできる限り何も話をしなければ一番いいんだ、そのほうが楽だ、という感覚になっているわけです。

これは端的に言って指導を受けることを放棄している状態です。もっと言えば、そういう態度は、その人はもう店長になることを諦めた、というのに等しいのですが、実際そうなってしまう人はけっこうな確率で発生します。

それを単に本人の意識や姿勢の問題だとか、あいつは所詮そこまでの奴だ、などと切り捨てるのはなるべく避けたいところです。

なぜなら、そもそも冒頭のほうで述べた通り、もともと技術も実力もあるタイプ1の人だけを対象にしていたら、いつまでたっても十分な人員確保は見込めない。そのために、

いかにタイプ2の人を掬うか

という前提で接する必要があるからです。と思えば、ここまで何とか引っ張って来たのに、ここで切ってしまっては今までの指導の意味がありません。
指導上の注意点 1
そこで、ここでの指導を有効に行うために、一部繰り返しになりますが、指導する側がまずここでの指導意図を明確に把握して、それに沿った接し方や評価を与えることが肝心です。

実際には次の点を踏まえる必要があると思います。

1 まず、本人の意識と無関係に、報告や挨拶などを徹底し続ける

つまり、どうしてもコミュニケーション事態を避けようとしてしまう人が発生しますので、それを防止するために、ある意味強制的に話さなければならない機会を作るようにします。

今まで指導要領でも学習しているはずなので、報告を徹底するとか、挨拶をきちんとするとか、そういう部分を強調して意識的に会話の機会を増やします。

その上で、

2 単なる言葉尻や、文法、敬語などの問題に集中しない

「言葉」について意識を持たせるのは良いのですが、末節の「言い方」や「言葉遣い」だけに目が行くと、細かい指摘をいちいち繰り返しているだけのように感じられてしまい、話をすること自体に強い緊張感を持たせ、早晩話をするのが億劫になってしまいます。

最初の意識付けの時点ではそういう指摘も必要なのですが、それはこの章に入った直後の段階で、しかも目立った問題点だけに絞って行い、以後は、なるべく早く「発言の価値を高めることが、ここでの一番のテーマなのだ」という認識を共有できるところまで誘導することを中心に指導します。

その段階では、仮に細かい点で言葉上の間違いや、おかしな表現が散見されたとしても、むしろいちいち指摘しないように心がけます。本人の認識がある程度できてしまえば、むしろ自分で言っていて、おかしな言い方をしたとか、表現などを間違えて使ってしまったとかいうことは、言われるまでもなく本人が一番意識しているはずですので、指摘するに及びません。本人がそれを意識しているかどうか、という点だけを常に確認しておけば十分です。
指導上の注意点 2
本人が言っているその言葉の言い方の問題よりも、なぜ今それを話したのか、または、どうしてそういうことを言ってしまうのか、とか、つまり「内容」のほうを重視して、そのことを会話するように心がけます。

言い方を変えれば、これはもう言葉の問題というよりも本人の考え方そのものを問題にする感じになりますが、ただし、だからと言って、今まで通りの話し方で話してよいということではありません。つまり、アルバイトさんが勤務終わりに店長さんに何か相談事をしているような雰囲気でやってはいけません。

あえて言えば、就職する時の面接を受けているときの話し方をイメージすれば良いかもしれません。もちろん、指導する側もあえてそういう雰囲気や表現の仕方を強調して使います。つまり、きちんと話す、というのはそういう意味です。その上で、話している内容そのものについて指導を入れていけばよいわけです。

そういう話ができる土壌ができたと思ったら、だんだん

3 店長など、上位者の考えを伝えてあげる

ことを織り交ぜて話し合うようにします。店長候補さんが自分なりに考えて話した事柄や、或いは日常の単なる報告や情報提供でもよいですが、その事柄について、店長など上位の立場の人は「どう捉えるか」「それを何と関連付けて考えるか」といった点を考えさせたり、話して聞かせたりすることを繰り返します。

ただし「~なんだから、そうやれ」とか「~というふうに考えられないとダメだ」というふうに、命令や強制と感じさせるような言い方は避けます。

「~ということも俺は考えている」
「たとえば、俺なら~という点を気にするけどね」

というふうに提示するだけに留めます。あるいは、

「それって、指導要領で言うと、~に関係あると思うな」

というふうに示してあげるのもいいかもしれません。とにかく、指導を受けている側からすればどんな言い方だろうが命令のように感じられるものですので、できるだけ表現を選び、一例として提示するような形に留めるくらいでいいでしょう。
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