店長力 > 2006年06月
いらっしゃいませ(^^)
店長の仕事を考える、コンビニ店長の店舗運営マニュアルブログです。
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いわゆる「前陳」の重要性
コンビニでは、働き始めてしばらくの間はレジの練習をするのが一般的です。その後、または、その合間に他の店内作業を少しずつ覚えていくことになると思います。それで、商品について最初に教わることはおそらく、たいてい「前陳(ぜんちん、または、まえちん)」というものです。

お店によって、「前出し」「フェイスアップ」「商品整理」「売り場直し」など、さまざまな呼び方があると思いますが、意味するところは同じです。これは、要するに、お客様がお買い物をして商品を取った部分について、奥にある商品を最前面へ移動する作業のことを指します。

これは、もちろん商品に関わる店内作業の中で最も重要な作業であることは間違いありません。

しかし、これを徹底することは実際には非常に難しいことでもあります。

余談ですが、最近は、「売り場」という名称が良くないと考えて、「お買い物場」などと呼ぶこともありますね。お客様から見ると、まさにそこはお買い物をする場所、商品を得る場所なのですから、これは的を射た考えです。ですから、もちろんお客様とすれば、

「すべての商品がしっかり見えるように整頓されていること」
「商品を選び、手に取りやすいように置いてあること」
「売り場が全体として、新鮮で、きれいで魅力的な状態で維持されていること」

は、商売なんだから当たり前だろう、という感覚があってもまったく間違っていません。しかし、これを常に実現できているお店というのは実は少ないと思います。

こうして書いている私自身のお店でも、ふと気がつけばある商品のコーナーがガタガタ、ということは日常茶飯事。そうかと思うと、回転率の悪い商品棚は、丸一日誰も一回も手を入れてない、なんてことも起こるのです。
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フェイスアップは「陳列」じゃない
ところで、「商品を前に出すこと」をなぜ「前陳」と呼ぶのかと考えると、単純には「前の方に陳列しなおすことだから」とも「前出しと陳列」を合わせたもの、とも思われますが、私の推測では、「前進立体陳列」を慣用的に略したものではないかと考えられます。

つまり、前陳とは、「前進立体陳列」されている商品群が、お買い物してゆく間に崩れてゆくので、それをまた「前進立体陳列」の状態に戻す、ということを指していると思います。

仮にそうだとして、では前進立体陳列とは何ぞや?という話になりますが、その前にまず、この前進立体陳列というのは、あくまでも一般的な陳列の手法の一つに過ぎません。たとえば、コンビニにおいても、それ以外の陳列法を用いる場合はありますし、前進立体陳列を用いることができない形状の商品もあります。

つまり、実は「抜けた商品を前に出す」ことと「前進立体陳列」をすることとはまったく別のことです。

ですから、まず言葉としては「前陳」というのはあまり適切な用語ではありません。そこで、おそらく現状小売で「前陳」という呼び方をしているお店はごく少数かと思いますし、FC本部のマニュアルなどでも他の名称が用いられていることと思います。(というわけで、ここでも以下「フェイスアップ」と言うことにします)

そして、実は問題はこちらの方なのですが、呼び方は別として、そもそも

「抜けた商品を前に出す」ことと、「商品を陳列すること」は、同じではない

もっとはっきり言えば、

フェイスアップというのは、陳列という作業とは別に存在する、お店にとって非常に重要な、独立した作業

なのです。お店では、それを厳密に区別して教えないため、結果として多くのスタッフさんにとって、フェイスアップとは、まず「とりあえず手があいた時にすること」であり、同時に、他の商品に関わる作業もすべて「フェイスアップの延長」であるかのようなイメージで理解してしまいます。

すると、当然作業効率は悪く、スタッフさんは成長せず、お店の売り場全体が何だかあいまいな、ちぐはぐな印象になって訴求性が低下してしまうのだと私は思うのです。それどころか、

「どうせ後で商品補充と陳列をするから、今フェイスアップしなくてもいいや」

などとスタッフさんが考えてしまうと、お店にとんでもないチャンスロスが発生することになるのです。

逆に、今フェイスアップが優先して必要な状況の時に、あいまいに「陳列」という作業を混ぜて行ってしまうことによって、店内作業全体が停滞するという面もあります。

しばしば、

「そこまでしなくていい」

と思えるような、いわゆる「バカッ丁寧な」フェイスアップをするスタッフさんがいるでしょう。そこだけ見れば良いことのようにも思われるのですが、実はそれは、そのスタッフさんが几帳面だから、ではありません。結局仕事が遅い、センスがない、などという評価を受けたりします。

これはつまり、はっきり区別して教えてないから、フェイスアップをしながら同時に陳列作業もしてしまうため、結果的にそうなってしまうだけなのです。
フェイスアップは「初期化」じゃない
では、今度はフェイスアップとは何ぞや?となるわけですが、よくある答えとしては、それは「もとの陳列状態に戻す」ことだ、という考えがあります。

確かに、「もとの状態」が、つまり考えられる最善の陳列方法であったと仮定すれば、それは、もっともなこととも思えます。

余談ですが、そう言えば店長になったとき、しばしば聞かされる指導というか、訓辞があります。それは、

「お店というのは、オープンした瞬間が『最高』の状態なんだ。だから、日々『オープンの状態に戻そう』という意識を持ち続けることが、最高のお店を作るということなんだ」

というものです。確かにごもっとも。店長さんのモチベーションを向上するには非常に有効な、素敵な言葉だと私も思います。

しかし、本当のところを言えば、私はその話に全面的に賛成する気にはなれません。なぜなら、最初が最善である、というのは、最初が、「最初の条件下では」最善であった、ということに過ぎないからです。

他の記事でも言っているように、私はお店にとって一つの重要な視点は「変化」であると思っていますので。

さて、陳列の話に限定しても、「もとの状態」といっても、必ずしも常にもとの陳列状態に戻すことが良いのかどうかは疑問の余地があります。

理屈で言えば、新たな商品を補充しない限り、お客様がお買い物するたびに確実に商品は減っていきます。ということは、商品量自体が最初の状態と異なるので、最善の陳列状態の条件が少しずつ変化していきます。

細かく言えば、単品ごとの数量、すなわち特定の商品群の中での各単品の構成率が変わります。ということは、その時点で最も販売したい単品も変わります。厳密に言えばそうなります。

細かい話はともかく、つまり、「もとの状態」というのは、その条件化において最善だったのかもしれませんが、条件が変わると必ずしも通用しないわけです。
フェイスアップの目的
このように、「陳列」と考えるといろいろややこしいテーマになりますが、それは後回しにして、とにかくまず、フェイスアップとは、実は「もとの陳列状態に戻す」ことではありません。

「じゃ、いったい何なんだ!」

となると、そもそもフェイスアップは何のためにやるのか、という点を確認しなければなりません。すると、フェイスアップの目的は、一見簡単です。要するに、第一義的には

○すべての商品を、お客様が視認できる状態にする

ことです。当たり前ですが、原則「見えない商品」はお客様も買いようがありません。それは、売っていないのと同じです。ですからこの状態を一刻も早く回避することが重要な作業なのです。

ですから語弊を恐れず率直に言うと、フェイスアップする時には、

売り場にある全アイテムが見えるように配置しなおせばよい

のです。厳密に言うと、その行為こそ「フェイスアップ」です。それ以外の、「陳列」に属する作業を混ぜて考えないことです。

そして、繰り返し言いますが、これはお店にとって最優先とも言うべき非常に重要かつ緊急な作業です。ですから、もちろん「暇になったらとりあえずフェイスアップ」などというのんきな問題ではありません。また、極端に言えば、もしも、今フェイスアップが必要な売り場や商品が、お店に1箇所でも、1アイテムでも存在するとしたら、それをほうっておいて、他の作業をしている場合ではありません。

たとえば、お店でちょっとしたお客様のピークがあって、その後売り場の作業をするとします。その時に、

○一つの売り場を丁寧に陳列しなおす
○全売り場を緊急にフェイスアップする


の2つのうち、どちらを優先すべきでしょうか(それ以外の、たとえば掃除を始める、とか言うのは論外です)。すると、答えは明白です。しかし、では、実際あなたがお店で働いているとき、この2つのうち、どちらを先に行なっていますか。何を優先していますか。
アイテム(単品)
アイテムとか、単品と言う場合には、特定の1種類の商品、という意味です。1個の商品、という意味ではありません。

たとえば、「ヤマザキのあんぱん」というのが1アイテムです。もしヤマザキのあんぱんが売り場に10個あっても、それは1アイテムです。
チャンスロス(機会損失)
これは、チャンスをロスすること、つまり、本来は売れるチャンスがあったのに、何かの理由でそれが実際の販売に結び付けられなかった、という意味です。販売の機会を損失したと考えるわけです。

たとえば経理上はプラスマイナスが発生しないので数字だけ見ると感じないのですが、お店では、実際には日々多少なりともチャンスロスは必ず発生しているはずで、それは明らかに損失なのです。

逆に言えば、お店の売上を上げたければ、他の事を考えるよりも先に、とにかくチャンスロスを発見して、撲滅してゆくのが常道ということになります。日常業務を通して、お店の全スタッフさんに浸透させたいところです。
売り場はお客様との接点
ただし、実を言うとフェイスアップの目的はこれだけではありません。実際にお店で働いている人は知っていると思いますが、フェイスアップするときには必ず「販売期限」または「賞味期限」を確認しながら行ないます。これには、販売期限切れ商品の撤去という目的もありますが、もう一つは、各アイテムの「販売順序」をコントロールするという重要な意味があります。「先入れ先出し」と言いますが、一般的に言って、お店としては、先に仕入れたものを先に販売したいから、そうなるように配置を変更する必要があるのです。

ですから、

○販売順序をコントロールする

ということが、実はフェイスアップの重要な目的です。そして、本当はもう一つ目的があります。それは、今まで述べたようなことも含めて、

○お店の人が、売り場を常に管理している

ということを店内にいるお客様に知らしめることです。これは一つには防犯上の問題も考えられますが、それよりも、主にお客様に対してお店のクオリティや人的な資質をアピールする要素として重要なのです。仮に、その売り場に今スタッフさんの姿が見えなくても、常にフェイスアップされた売り場を見て、お客様はそこに「人の手が加わっている」ということを無意識に感じ取るのです。そして、それはお客様が、お店で働いている人のレベルや考え方を判断する重要なポイントでもあります。しばしば、

「サービスは接客だけではない」
「お客様との接点はレジだけではない」

というような言葉を私も言いますが、それは、たとえばこういう部分に表れるわけです。
陳列の基本は3原則
アパレルなど、買回品・嗜好品では優先順位が異なると思いますが、コンビニなど主に日用品、中食商材などをメインに扱うお店の場合、陳列方法の最も基本として私が挙げたいのは、次の3つの原則です。



基本的な陳列3方法:

1 先入先出法・・・販売期限順に販売すること

これは、原則的な意味としては「先に仕入れたものを、先に販売すること」なのですが、実際には必ずしも先に仕入れたかどうか、というよりも「販売期限」が先に到来するものを先に売る、というほうが現場的です。

ですから、流通業においては、本当は「期限優先法」とでも言うほうが良いかとも思います。また、お店の方針によっては、特に販売期限の短い食品など、特定の商品について逆に「新しいものから売る」という方法を採用する場合もあります。十分な販売量が見込めて、採算が合う場合にはこの方法はお客様に対する強力なアピールにもなりますので、以前一部のFCではこれを推奨することもありました。また後であらためて言いたいと思います。

2 多量優先法・・・数の多い種類を優先的に良い場所に置くこと

良い場所、というのはつまり売れやすい場所、ということです。ある商品群に含まれる各アイテムのうち、原則、在庫数の多いものほど優先的に販売するように陳列します。

慣れないスタッフさんなどの場合、全ての商品をバランスよく売ろうと考えてしまうことがありますが、逆に、多く売れるものをより多く売ることがトータルの販売数をより増加することになります。多いものを優先して考えることは、相対的にチャンスロスを減少するためにも有効な手法です。

3 前進立体法・・・最前列に出し、高く重ねて積むこと

3原則のうち、最後に位置するのが「前進立体陳列」になります。これは、もちろん頻繁に用いられる方法ですので、それ自体大事ですが、もちろんこれ以外にも陳列方法はさまざまに考えられます。ただし、この陳列法は、上の先入先出法・多量優先法を習得するために非常に有効なので、これを正しく行うことを最初に学ばないと、これ以外の陳列方法を身に付けることもできません。その意味でも最初にしっかり習得したい陳列法になります。



私は、この3つが商品陳列の基本だと考えています。最初にこの3つをマスターすれば、その後様々な応用パターンも考えられるようになりますし、何よりも、「売り場を作る」というお店での重要な仕事を行うための「考え方」が身に付くと思うのです。

陳列作業マニュアル配信再開しました。
先入れ先出し
ここで言っている先入れ先出し法とは、会計の原価法とかの話ではなく、商品そのものを仕入れ順に販売することです。

小売では当然のことのように思われていますが、先入先出しを徹底することはなぜ重要なのかについてあらためて考えてみると、つまり「販売順序」をコントロールしたいからです。

そして、販売順序をコントロールすることに何の意味があるのかというと、大きくは2つの意味があります。それは、ロスを防ぐことと、チャンスロスを防ぐこと。実は、ロスとチャンスロスは表裏一体の関係にあるのです。

言葉だけではちょっと分かりにくいかも知れませんが、コンビニのお弁当で考えてみましょう。

通常コンビニでは、お弁当は1日に3回の納品があります。実際にはタイムラグがあるのですが、単純に言って、約8時間毎に、各アイテムのより新しいお弁当が売り場に並ぶと考えてよいでしょう。

すると、新たにお弁当が納品された時点では、

1 今納品されたお弁当
2 前の納品便でお店に来たお弁当
3 その前の便で来たお弁当

が売り場に存在します。ただ、3のお弁当はその時点で「廃棄処分」となります。つまり捨ててしまいます。1の納品と3の廃棄はだいたい同時に行なわれると考えてよいでしょう。

つまり、コンビニのお弁当売り場には、常に同一アイテムの「古いほう」と「新しいほう」が置いてあるわけです。

大まかに言えば、先入れ先出し、とは「先に仕入れたほうを先に売り場に出す」ということですが、コンビニのお弁当は、通常1アイテムが数個~多くても20個前後の納品しかなく、たいてい納品された時点ですぐ売り場に出されます。つまり、在庫という観念が基本的にはありません。ですから、販売順をコントロールするためには、「置き方」が大変重要な意味を持つわけです。

もし、あるアイテムを新しい方から先に販売すると、販売期限の迫っている商品が比較的多く残っていきます。すると、最終的に売れ残る可能性が高くなります。これはロスに直結します。

これは、入ったばかりのスタッフさんでも容易に理解できます。

しかし、それだけでなく、廃棄処分をした後、その商品の数が、予定より減ってしまいます。これがさらに問題なのです。先ほどのように

1 今納品されたお弁当
2 前の納品便でお店に来たお弁当
3 その前の便で来たお弁当

と分けて考えると分かりやすいでしょう。3の、先に廃棄すべきお弁当が売れていれば、2の数に変化はないのですが、もし3が買われず2が先に減っていると、3を廃棄した後に残る2のお弁当の数が想定より少なくなってしまうのが分かるでしょう。

つまり、次に売るべき商品が少なくなってしまうのです。これは、最悪の状態、つまり「欠品」に直結します。
販売順序と発注精度
ちなみに、

1 今納品されたお弁当
2 前の納品便でお店に来たお弁当
3 その前の便で来たお弁当

の、1のお弁当の数は「2が予定通り残っているもの」と仮定して発注されたものです。すでに納品される段階では発注数は修正できません。

もし販売順序が逆になったために、3を廃棄した後極端に数が減った状態になったとします。

すると、店長さんは、次回の発注量を上方修正する傾向があります。

一つには、データの見方が雑で、単純に売り場を見て「あ、思ったより売れてる」などと誤解したり、リードタイムをよく理解していなくて、調整のつもりで数量を増やす、といった技術的な理由でそうなることもあります。

ただ、そこまで極端でなくても、商品数が不足している売り場を見たら、心理的に「増やさなきゃ」という心境になってしまいやすいのです。すると、各アイテムごとに1個2個といったレベルで多めに発注してしまうわけです。

そうしたら、またロスになる可能性が高くなります。で、今度はそのロス数を見て発注数を下方修正したら欠品します。

売り場が管理できていないお店では、ロスとチャンスロスの間を行ったり来たりする波ができます。この傾向は、むしろ店長さんが毎日こだわって発注数に悩めば悩むほど、逆に強く表れます。

つまり、販売順序をコントロールしないと、適正な発注も不可能になります。

納品が1日3回あるということは、発注も3回行っているということです。コンビニの店長さんは、その都度、次にそのお弁当を何個仕入れるか、3個にするか、5個にするか、といったレベルで日々発注を考えているわけです。

それなのに、売り場で販売順序が崩れていたら、その細かい判断作業が水の泡、それどころか逆効果になるのです。

そもそも商品の置き方、フェイスアップの徹底度によって、販売数量は大きく変化してしまうのです。ですから、それをきちんと指導したり、管理するほうが先なのです。
ロス
ロスとは、つまり「損失」のことです。

ただ損失といってもさまざまに考えられます。コンビニで言えば「廃棄商品=ロス=捨てる食品」と思っているスタッフさんが少なくありませんが、ふつうはロスとは「値下げ損」のことを指します。

スーパーなどでは、あらゆる食品が「1割引→3割引→半額」というように値下げされていくでしょう。ある時点で原価を割り込みます。最終的には捨てるしかありません。

コンビニでは割引販売は通常行なわれませんので、もし、売れ残ったお弁当を廃棄処分にするということは、その分の粗利全額が一気に値下げ損になるわけですから、ロスのコントロールは不可欠です。

余談ですが、私のお店では、ロスになった食品を内部のスタッフさんが食べたり飲んだり、持って帰ったりすることを完全に禁止しています。



ところで、通常ロスと呼ぶのは、原価の損失のことと考えてよいかと思いますが、一方で、売価つまり「本来売ろうと思っていた値段」を基準に考えると、また意味が異なってきます。安売りすればするほど、当初予定していた売価から、粗利が差し引かれていきます。その差額のことを売価値下げ損と呼んで区別します。

経理上は原価のロスが意識されることのほうが多いと思いますが、チャンスロスを減少するためにも、運営上、売価値下げ損を意識することは欠かせません。
リードタイム
リードタイムとは、一般的に言えば「調達に必要な時間」という意味です。お店で言えば、「注文してから、その商品がお店に届くまでの時間」のことです。

コンビニなどでは商品仕入れ作業のことを「発注」と言います。つまり、リードタイムとは「発注→納品」にどれくらいの時間がかかるか、ということを表します。

お店では、アルバイトのスタッフさんにも特定のカテゴリーの商品の発注を任せることもごく当たり前に行なわれています。その時に、しばしば見られる説明不足が、この「リードタイム」という概念というか、言葉です。当たり前ですが、リードタイムをはっきり知らなくて、各アイテムの適正な発注数を判断することはできません。ところが、たいていスタッフさんが初めに任せられるのは、比較的売れる頻度が低い商品群だったりします。コンビニで言えば、たとえば雑貨とか、加工食品などです。

すると、本人はリードタイムを意識せずとも、何となく発注という作業はできてしまうのです。しかし、それが実際にはお店にとって大きな損失を招くことになります。
作業マニュアルを公開
陳列というか、フェイスアップを習得する自店で必要なことについて、お店で使っているマニュアルをダウンロードできるようにしてみました(^^)

記事ではイマイチ何言ってるかよく分からなかったかもしれませんが、これを見てもらったほうが分かりやすいのではないかと自分では思ってます。

一応、お店のスタッフさんたちは、これで仕事を覚えてくれています。ただ、それがこのマニュアルのおかげなのか、それとも本人たちの我慢と努力によるものか・・・は、分かりませんが(^^)

ところで、FC2ショッピングカートで作ったので、ダウンロードするのにけっこう面倒です。しかし、仲間に聞いたらPDFの文書をブログに掲載するのは難しいらしいですね。よく分からないんですが。


PDF文書を配信する方法が分かったので、公開を再開します。(今までダウンロードできなかった方、誠に申し訳ありませんです……)

フェイスアップを身につけよう(コンビニ基本作業OJT 10)フェイスアップを身につけよう(コンビニ基本作業OJT 10)




というわけで、もしご興味のある方がいらっしゃいましたらぜひご覧ください。感想などをいただけると、大変嬉しく思います。
後入れ先出し
お弁当のような足の早い商品でなくとも、商品は販売までの時間が延びれば伸びるほど、言い換えれば、お店に存在している時間が長ければ長いほど、その価値が下がってゆくもの、と考えるのが原則です。だから「早く仕入れ、早く並べ、早く売る」は小売の鉄則といったところです。

一時、「後入れ先出し」が推奨された時期がありました。つまり、現状の在庫に関わらず、新しい納品があった場合には、それを優先して売りましょう、という考え方です。

言うまでもなく、今では一般のお客様でも、お店では常に先入れ先出しが行われていて、

「無意識に商品を取るとたいてい古いほうをつかまされる」

ということはよく知っています。コンビニでも、下のほうにあるお弁当、奥のほうにあるジュースなどを引っ張り出して買うお客様をよく見かけますね。これは、お客様にとって見ればごく当たり前の行動です。誰だって、同じ値段、同じアイテムなら「より新しいもの」のほうが価値が高いと考えるからです。

そこで、あえて新しいほうを前面に置くような手法、つまり後入れ先出しと言う観念が生まれたのです。お客様はおそらく気が付いてくれるでしょう。

「あれ?奥から取ろうとすると、奥のほうが賞味期限が早い・・・」
「あれ?まただ。そうか、このお店は、新しいほうを前に置いてるんだ!」

と、できればお客様自身に気がついてほしいところ。それが、

「どうぞ、できるだけ新鮮な商品をお買い上げ下さい」

というメッセージになる、アピールになる、と考えたわけです。

ただし、これを実行するには、まず何より全スタッフに常に特定の商品を「後入れ先出し」で陳列することを周知徹底しなければなりません。当たり前ですが、先入れ先出しが徹底できないお店は、後入れ先出しも徹底できません。

それだけでなく、後入れ先出しでも利益を確保するためには、多少のロスが出ても、それを上回る販売数量が常に維持されることと、精度の高い発注を継続することが必須です。ですから、店内のすべての商品について後入れ先出しを実行することは、おそらく不可能です。

もちろん、お弁当やおにぎり、惣菜・サラダといったごく短命な商材では、なかなかできることではありません。無理に行うとすぐ赤字になります。そこで、コンビニで一昔前によく行われたのは、いわゆる白物(シロモノ)の後入れ先出し政策です。白物といっても「冷蔵庫・洗濯機」といった家電のほうではありません。食品でシロモノというのは、「食パン・牛乳・ごはん・卵」などを指します。

まず牛乳や卵などは、適度に販売期間が長めです。つまり、リードタイムに比較して廃棄までの猶予が長いため、発注量の調整がしやすいのです。しかも買ってすぐ食べるものではないので販売期限には敏感になりやすい商品群です。

食パンやごはんは、販売期限は短いものの、買う人が気にしやすいので、アピール度は比較的高いと思われます。また、これらは実際時間の経過で味の変化がはっきり出やすい面があります。そして、これらはコンビニでは買うヒトがごく限られているので、販売数が読みやすい商品とも言えます。

そんな理由から、白物の後入れ先出しは、けっこう多くのお店で行われていたように感じます。しかし、いつの間にか、最近見なくなりました。
前進立体陳列のポイント
さて、一応「前進立体陳列」について説明しておこうと思います。前進というのは、手前に持ってくるということです。と言うとごく当たり前な感じがしますが、私が実際お店で新人のスタッフさんなどを指導している中で思うことは、

「まっすぐ並べる」ということが、案外にできない人が多い

ということです。現場では、良い例と悪い例を見せたり、その場で手直ししたりしてある程度教えることができますので、自然にできるようになることも多いのですが、考え方として重要なポイントは次のことです。

つまり、売り場にはあるバーチャルな「最前面」が存在していて、その面に沿って商品が陳列されている、と考えるのが正解です。

イメージとして、駅で「ハイ、白線の内側までお下がりください」というアナウンスがありますが、あれと同じで、たとえばある商品が、その売り場の最前面よりも突出して置いてあるのはいけないのです。

商品の表面のことを「フェイス」といいますが、売り場の棚で、各アイテムのフェイスが出っ張ったり、へっこんだりしていたら当然統一感がなく、見栄えがよくありません。

私は説明する時の例として、各売り場には、パントマイムの「壁」のような、ある平面が存在していて、各アイテムのフェイスがその壁にぴったり張り付いているかのようなイメージで陳列するときれいに揃う、と言います。つまり、前進立体陳列の「前進」とは、できるだけぎりぎりまで各商品を前に出す、ということではないのです。その想像上の「壁」まで前進する、という意味です。

前進立体陳列の場合、各アイテムのフェイスがある基準平面にビシッと揃っていなければインパクトのある売り場はできません。

細かいことですが、単に物理的にできるだけ前に寄せればいい、と考えていると、ともすると人によっては、

「その列に詰め込めるだけ詰め込む」
「多少商品形状が歪んでも、無理にでも前にキツキツに寄せる」

というおかしなやり方をすることがあります。もちろん、実際に作業していると一つには、「1個でも在庫を減らしたい(つまり、早く売り場に出したい)」という衝動に駆られたりもします。しかし、これはまったく作業者の主観的な願望でしかありません。そんなことをして無理やりに1個多く売り場に出してもまったく無意味です。
前進立体陳列の範囲
ところで、曲者は「立体」のほうです。立体とは、高く積み重ねる、という意味です。前進立体陳列では、まず基本として、最前面が最も重要ですから、

最前列を一番高く積み重ねる

のが正解です。たとえば、最前列が4段で、その奥に5段積んであってはいけないのです。ところが、ともすると在庫を全部奥のほうに入れておくもんだから、奥のほうの商品が乱雑に積み重なっているのが丸見え、という場合も良く見かけます。これは、厳密に言えば前進立体陳列ではなく、売り場が在庫スペースになっているだけです。

もう一つ、よく陥りがちなのが、「何でも積めばいいと思っている」ということです。前にも言いましたが、

立体陳列が可能な商品は、限られている

という点を確認したらよいと思います。しばしば誤解されていますが、前進立体陳列をするのは、別に食品だからとか、コンビニやスーパーだから、ではありません。それよりも、第一に問題は商品の形状です。つまり、どの業界であろうが無関係に、前進立体陳列に適したアイテムと、それ以外の陳列が適するアイテムは同時に存在するのです。

今ごく簡単に考えれば。要するに立体、つまり「積み重ね」に適しているのは「直方体または円柱形の商品」になります。ですから、箱に入った商品、パック詰め商品、缶詰めなどは適しています。また、衣類などは折りたたんで結果的に直方体に近くなるので適しています。

逆に言うと、そもそも形状から考えて「積み重ね」に適さない商品もあるということです。たとえば、重ねたらつぶれてしまうもの、底面が不安定なもの、また、重ねると最も訴求できる面が見えなくなってしまう、と言う商品もあるはずです。積み重ねるべきでない商品まで十羽一絡げに「立体陳列」しようとするから汚い陳列になるのです。

次に、売り場の什器、棚幅、外観から考えて「積み重ね」が適さない場合が考えられます。たとえば、重ねようと思えば重ねられるけれども、そうすると商品を取ろうとした時に無理やり引っ張り出さないといけないとか。無意味でしょう。

他に、在庫数が少なすぎて、前進立体陳列が成り立たない、または、非常にみすぼらしい陳列になってしまう場合もありえます。
言葉遣い、だけでは解決できないこと
言葉の問題について、もう一つ例を挙げる。しばしばある会話だが、店長さんが、スタッフさんに、特定の作業をもう覚えたかどうかを確認しようとして、

「君は、~はもう知ってるか?」

と尋ねることがよくある。一見、先ほどの例、お客様が

「~ありますか」

と聞いてきた場合と似ている気もするだろう。でも、この時、店長さんが知りたいのは何だろうか。こんな時、店長さんは何を目的として質問しているのだろう。ちょっと想像してほしい。すると、どういう意図があるにしろ、たいていの場合

「知ってるか、知らないか」

ということだけを答えるのが正しい、ということに気が付くはずだ。それなのに、

「はい。あ、あれは、ええっと、こうやって、ああやって、それをこうして、こうやればいいんでしたっけ・・・?」

というふうに答える人がしばしばいる。と言うか、実際スタッフさんは、かなり高い確率でそういう答え方をする。実はこれは、会話としては非常におかしい。もちろん尋ねた側は

「やり方を説明してほしい」

なんて思っていないし、質問されているのに質問で返してどうする。

端的に言えば、このような答え方をする場合、そのスタッフさんは、

「自分がそのことを知っているか、知らないのか、すらよく知らない」

ということで、それはつまり結論としては、「知らない」ということになる。だから、答える本人としては不本意であっても、

「知りません」
「教えてもらったのですが、忘れました」

とか言わざるを得ないはずだ。そうすれば少なくとも会話は成立する。

ただし、もちろん、

「~は知ってるか?」

と聞かれて、本来期待される答えは

「はい、知ってます」

である。そう答えられるようになっていなければならない。つまり、会話というのは、単に言葉の問題ではなく、そもそも考え方とか、取り組み方によってもその結果が大きく異なるということだ。結局は、仕事なり作業なりをきちんと理解し、実行しているという自信がないから、ちゃんと答えられないのだ、ということに気が付くべきだ。

実は、分からない部分がそのまま残されていて、それでも別に問題だとも感じていない状態がそもそも問題なのである。そして、それで許されると思っているから、おかしな答え方を平気でしてしまう。そんな姿勢でお客様の前に立つのは非常に危険だ。
中食
中食は、通常「なかしょく」と呼びます。(「ちゅうしょく」だと「昼食」と区別が付かないからです。たぶん)

ファミリーレストランなど、外で食事を済ませるのを「外食」と言いますよね。で、その反対に、自宅で料理をして、ふつうにご飯を食べることを「内食」と言うようになりました。

で、中食というのは、その中間にある形態という意味で、つまり、外で買ってきて、料理はしないで(レンジアップくらいはしますが)そのまま食べる、という意味です。コンビニで扱っているお弁当や惣菜・サラダといった商品はその典型です。

以前は、コンビニは中食、スーパーは内食販売というイメージがあり、ましたが、最近はスーパーでも立地によって中食に力を入れるようになってきました。外食産業と中食販売の相互乗り入れも見られます。
前陳信仰を捨てろ
コンビニでは特に、ごく初期に販売期限の見方や前進立体陳列だけを簡単に習って、その後陳列についてほとんど何も教えられないまま自力で作業を覚えてゆくことも少なくありません。

しばしば、レジ前のエンドなどに見切り品を置いてあるお店を見かけます。それぞれ2、3個くらい残っていて、「半額」とか書いたシールが貼ってあったりします。百歩譲ってそれ自体は問わないとして、私が思うのは、「何でそれを前進立体陳列しようとするのか」ということです。

せめて、かごかなんかに入れてジャンブル陳列するとか、見切り品らしく展示陳列するとか・・・

こうなってしまう一番の理由は、スタッフさんがいわば

「前進立体陳列こそ唯一の正解である」

というような誤解をしているからです。こういう現象を私は「前陳信仰」と呼んでいるわけです。

もっと言えば、スタッフさんがそれ以外の基本的な陳列方法を知らないのです。これは、お店に、陳列法の簡単なマニュアルか、または陳列に関する市販の本でも1冊あれば解決してしまう問題ですから、一度ぜひ考えてほしいと思います。

そして、それぞれの陳列方法の特徴と、「その方法で陳列すると、どういうメッセージを与えるか」という点を意識することです。たとえば、前進立体陳列するということは、原則として物量をアピールすることになります。つまりそれは、

「この商品は量が豊富で、品切れがありませんよ」

というメッセージになるわけです。すると、仕入れが難しいプレミアム商品であったり、類似商品と比較して割高でも品質が優れているような商品の場合は、前進立体陳列するとその商品特性を十分伝えることができないのではないか、他に適した陳列方法はないか、といったことを意識できるようになるのです。

陳列とはつまり、その商品をどのように見せ、売ろうとするかという意思表示でもありますから、基本的なパターンはあるものの、特定の商品に適する陳列方法はこれだ、と決め付けることはできません。商品ごとにいかにプロモーションしてゆくか、どうしたらこの商品の良さを伝えられるんだろう、と考えるその過程こそ陳列という作業の一番のポイントでしょう。
陳列のセンスというのは本当か
スタッフさんの間で「陳列がうまい、へた」「センスがある、ない」という話はしばしば聞かれるかと思います。

しかし、私が思うに、たいていの場合それは、ごく初歩的なレベルに終始してしまいがちです。

一応、実際に行う時には当然のように先入れ先出しとか、多フェイス化といった別の要素が絡んできますが、それでも、単純に言うと前進立体陳列は「商品を手前に高く積むこと」です。それ以外の何物でもありません。

ですから、本当を言うと、そんな基本的な部分で陳列の技術に巧拙の差が出るものとは私は思いません。それは、基本的な知識があるかないか、というだけの問題でしょう。

そういったことまで曖昧なまま各スタッフさんの判断に任されているから、スタッフさんもそのレベルで試行錯誤せざるを得なくなってしまいます。

早く基礎的な段階から脱却すること

がむしろ重要です。たとえば、その商品を通常何フェイスにするか、最前面には何個積み重ねるか、といった程度のことで、あまり試行錯誤させないことです。

そのためには、仕入れ担当者が、陳列方法の初期設定として伝票か連絡ノートにでもちょっと書いておけば済むことです。たとえば

「列3、段2、前進立体」

といった単純なメモで十分なのです。そのちょっとした工夫を怠るから、いちいち作業時にああでもない、こうでもない、と考えなければならなくなるのです。
陳列の原則と例外
たとえば、最前列に何個まで積み重ねが可能か、ということを理論的に決定できるか、唯一の正解があるかどうかは、考え出すと難しいことです。

また、菓子パンのように袋に入った商品は、当たり前ですが、押したり詰めたり、重ねたりすればつぶれます。ということは、立体陳列に適さない商品です。ですから、こういった商品は、重ねたり詰めたりするのは避けた方がよいと私などは考えます。ただし、これも店長さんや発注者の考え方次第というところもあります。

つまり、多少つぶれてもボリューム感をアピールした方がよい、と考えればそれも一理ありますし、もっと言えば、菓子パンなんて、そもそも多少つぶれてるくらい気にするこたあない、と言えば、それもそうです。

ポテトチップスのような袋入り商品は、立体陳列してもそうそうすぐにつぶれたりしませんが、棚に詰め込んでしばらく置くと、中の窒素が抜けてだんだんつぶれてしまいます。たとえば、棚の奥行きが中途半端な場合、1列に4つ置いたら少し隙間ができ、5つ置くとパンパンで見栄えが良いけれども、奥の商品が時間とともにつぶれてしまう、ということになります。ここで、どちらを選択するか、という問題が生じるわけです。

これらは例えに過ぎませんが、現場でこういった細かい点については、一概にどちらが良いとは言えない面があります。そこで、各人の判断に任せていると、その都度議論が起こり、また、作業者によって売り場の出来具合に差が生じます。だから、どちらがいいのか、というよりも、とりあえず原則的なやり方を決めておくことにしたらいいと思います。原則があるからと言って、例外を絶対許さないというわけではないのですから。

この「いったん決めておく」ということができない、または、徹底されないのが本当の問題です。

もちろん、商品によっては、例外があっても構わないと思うのです。しかし、すべてについてその場の判断で決めるのではなく、原則があって、しかるに、この商品はこういう特性があるから、また、この商品は特にこういう販売方法をしたいから、とはっきりした理由のもとに原則以外の方法にトライする、そして、その結果を検証してみる。

そんなふうに、ある原則をもとに、一歩進んだ陳列スキルをみんなで模索するところに初めて成長が生まれます。
何のためのコミュニケーションか
少し余談になりますが、もちろん、レベルは別として、現場的な問題についていろいろ話し合うことは、スタッフさんどうしの円滑なチームワークの形成などに役立っている面はあります。

時には、それは店長さん自身にとっても「楽しい仕事」の条件であるかのように感じている場合がしばしばあります。いろいろ意見を出したり、話し合ったりしてくれるスタッフさんたちに囲まれて、店長さんも「張り合いがある」わけです。

それはそれで、お店の活気や人間関係上好都合ですので、全面的に否定はしなくてもいいのですが、できればその内容的なレベルを少しずつでも向上していけたらよいと感じます。

今、いろいろ話し合えていること自体で満足してはもったいないのです。楽しいのはけっこうですが、十年一日のように同じことを何度も何度も言い合っているだけでは、お店自体のスキルが向上しません。

実際に各スタッフさんに考えてほしいことは、できればもっと重要なことや、本当に試行錯誤が必要な段階の課題についてであって、単に決めれば済むだけの同じようなことばかり余計な時間をかけて考えたり、話し合ったり、それで一生懸命仕事をしているつもりになったり、というのは通過点に過ぎないと考えなければなりません。

よく、お店で発注業務を任せられるスタッフさんがいない、という相談があります。ところが、よく聞いてみるとたいてい、それ以前にフェイスアップの方法が明確に決まっていない、フェイス取りの考え方について原則的な取り決めがない、ということが分かります。これでは、たとえ「発注の操作」は分かっても、陳列方法によって販売数がどう変わるのか、いったい何を基準に発注数量や商品選択を行ったらよいのか、という面では見当もつきません。

そういう状況のまま発注という業務を任せようとするから支障が出るのでしょう。それでは、店長さんが内心で「こうやってほしい、こうあるべきだ」と思っている通りの発注や商品管理をスタッフさんが実現してくれるはずがないのです。

そして、そういう場合に限って現場では

「君は発注のセンスがあるね、ないね」

という話になってしまうわけです。私は断言しますが、確かに発注にしろ陳列にしろ、センスというのはあります。しかし、それはお店で行なわれる日常の再発注業務に支障が出るようなレベルのものではありません。発注が任せられないのは、センスじゃなくて基礎的な知識の問題です。
無理な要求をするお客様
時に、うるさいお客様、無理なことばかり言うお客様に出くわす。お店で働いていればたいてい経験があるだろうと思う。

自分の都合を優先してお客様に接してはいけない、と言ったが、これは

「すべてのお客様の言うことを、無制限に聞かなければならない」

という意味ではない。むしろ、お店として提供しようとしている規準がはっきりしていれば、

「できること、できないこと」

がはっきりしているはずで、「できない」ということがはっきりしていれば、最初からそのつもりで対応できるから、うまく対応できる。

規準が明確であれば、対応も明確でスピーディになる。その前提があるからこそお客様一人ひとりを見る余裕も生まれる。できないことがはっきりしているからこそ、提供すべきことをきちんと提供できる。

たとえば、お客様の言ったことは全部正しいとか、すべての要求に従うべきだとか考えていると、判断が遅れ、摩擦が増え、結果的に、本来提供すべきものさえ不完全になってゆく。

規準が徹底されていないと、その場その場で判断すべき事柄がたくさん発生してしまう。それに、期待を持たせてしまい、後から撤回する、というような対応の「ねじれ」がしばしば発生する。限られたお客様への対応に執心する一方で、ごく普通の、多くのお客様にその分しわ寄せが行ったりもする。

お客様も、お店のスタッフも、人間である。

そもそも、販売員の基礎的な行動の傾向は、その人が普段考えている人間関係についての理解の仕方、対人スキルといったもののバイアスを受ける。また、それを向上させることが販売員としてのスキルアップの王道であり、近道でもある。
※管理者の方へ
(消費者優位の条件)

お客様優位の状況が生まれる要因にはまず、

○ 店舗の飽和による競合の激化。供給過多。
○ 物(製品)による差別化の限界。

がある。これにより特に現代の日本においては販売者側は、サービス競争が激化する中で単に商品を提供するだけでは自店を選択して貰えない、という事情を抱えることになった。それだけではなく、

○ 消費者の権利意識の高まりと、それに対応する政策による保護
○ 顧客は優位であるべきだという社会通念の浸透

が挙げられる。

消費者は今や以前のように泣き寝入りすることはなく、店舗や企業に対して堂々と批判や請求ができ、最終的に法に訴えても十分勝算がある。これはある意味販売者側にとって非常な脅威となる。

以上のような理由から、消費者・顧客優位の状況が生まれていると考えられるから、組織としてのパワーバランスはあるとしても、それを用いて店舗や企業のエゴを優先させるべきではないし、それは現在においては許されない、という見方が一般的にある。

これはしばしば聞かれる説明だが、だからと言って、現実に多く見られるように、これらの要因をただ自店の利益やその存続を脅かすものと捉えて仕方なく盲従的に顧客に迎合する、という態度もあるべき姿ではない。それでは「お客様大事」とか「接客重視」というのは本音とはかけ離れた方便でしかないということになってしまう。顧客サービスが表面的で、行き届かないのはそのためである。



(販売取引の本来的な姿)

私が推奨する考え方は、「販売」という業における根本的な規準として「顧客志向」を位置づけるやり方である。

つまり、販売と言う仕事をするためには、「お客様の立場を重視した」関係構築は前提的に不可欠であると考えるのである。差別化とか競合対策といった、個店の事情以前の規準と考えるのである。

販売と購入という行為は、本当は契約取引、交換取引である。それは、お互いの自由意志によって対等になされることが本来の姿である。とすれば、販売者にとって、本来の対等な取引を成立させるための努力こそ最も必要なことであり、至上命題なのである。

例えば、顧客の健全な購入判断や商品選択のための十分な情報の提供の責任を全うすること。購入という行為に関わるわずらわしさや、苦痛を緩和するように取り計らうこと。それは、販売を「業として行う」者の必要条件とも言える。

そのような精神を販売者側が持ち、お客様に対しあるべき情報提供や接遇を行うことが本来の姿であるということをスタッフが自覚すれば、表面的な迎合の姿勢以上の効果が期待できるだけでなく、顧客に対してより主体的な関係構築が可能になるのではないかと考える。
さて、陳列の仕方を考えよう
基本的な原則を覚えた上で、適時速やかで自然なフェイスアップができるようになる。これが第一の目標です。スタッフさん全員をその段階まで引き上げることが肝要です。いわば、ここではじめて「陳列」そのものを勉強したり、議論したりする土台ができるわけです。

それで、次に問題になるのが、いわゆる「棚割り」「フェイス取り」ということになります。つまり、どのアイテムを、どの場所に、どういう陳列方法で配置するかということです。

ところで、あらためて言うと、通常コンビニなどでは、陳列を考えると言えば、唯一

「何フェイスでおくか」

ということだけになりがちですが、それは前陳信仰に縛られているからです。第一、何フェイス、という認識自体が前進陳列を前提にした言い方です。

もちろん、実際には特殊な陳列をして効果が期待できる商材は多くありませんし、設備上バリエーションもごく限られるかもしれません。また、安易に陳列そのものに予算を使うのも考えものです。しかし、ごく限られた範囲で陳列を工夫しようと思っても、選択肢が限られてしまいます。

しばしば思うのですが、コンビニやスーパーのスタッフさんというのは、陳列に関して、すぐ飽きてしまう傾向があるように思います。初めのうちは、商品を並べたり、フェイスを考えたりするのが楽しくて仕方ありません。自分が並べた商品をお客様が手にとって見てくれ、お買い上げしてくれるのが嬉しくて仕方ありません。しかし、その期間はすぐに過ぎてしまうのです。すぐにやり方がパターン化してきます。また、どうやって置いてもそれほど売上は変わらない、という意識になります。

これには、もちろん他の心理的な問題も含まれていますが、一つには手持ちの陳列テクニックがごく少ない上に、それ以外に考える余地がない、と勝手に思い込んでしまうといった面も影響していると思うのです。

陳列の方法論に唯一の正解なんてありません。

コンビニで言っても、たとえば、昔はアイテム数を極力増やして品揃えの豊富さをアピールすること自体に意味がありました。しかし、だんだんと特定の商品に注目を誘う多フェイス展開、見やすく、手に取りやすい陳列方法、それと同時に死に筋を早期にカット(取り扱いをやめることです)してアイテム数をむしろ絞る方法が当然視されるようになりました。

ところが、今度は圧縮陳列といった手法が注目されています。ワンプライスショップや、ディスカウントストアでは、むしろ

「選びにくい」
「手が届かない」
「何があるのかよく分からない」

ような陳列をわざと行う所があります。それによって、安さをアピールしたり、良い商品を発見する喜びを演出したり、目的購買以外の来店を促したりしているわけです。

このように、考えようによって、陳列の手法、そして意図はいつも変化しますし、変化させることが出来るわけです。ですから、実際行なう機会がそれほどないとしても、陳列のテキストを見せたり、他業態の店舗を観察に行ったりすることで、より幅広く考えるための知識を提供してあげたいものです。

陳列は基礎的なものだけでも多くの方法があること、陳列について工夫できることはまだまだたくさんあるということを知る機会を作ってあげましょう。
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